【規制がない!】トランス脂肪酸と日本の食品【現状まとめと家庭でやるべき対策】

トランス脂肪酸と日本の食品についてまとめました。

✔︎ トランス脂肪酸って危険なの?詳しく知りたい
✔︎ 日本で生産される食品とトランス脂肪酸への取り組みについて現状を知りたい。

こんな疑問にお応えします。

あなたがこの記事をよむと、現状で日本におけるトランス脂肪酸の取り扱いルールがわかります。実際に生活する上では、どういった食べ物が危険か、どの食用油を使うと安全かまでご紹介します。

あなたや、あなたの家族の健康に影響する内容です。よく読んで知見を広げてください。

早速行きましょう!

【規制がない!】トランス脂肪酸と日本の食品

トランス脂肪酸と日本の食品

まずは「トランス脂肪酸とは」について、簡単に触れていきます。

トランス脂肪酸には、天然に食品中に含まれているものと、油脂を加工・精製する工程でできるものがあります。

今回話題にしたいのは、工業的に精製されたトランス脂肪酸のほうです。

加工技術の一つに「水素添加」があります。水素を添加することで不飽和脂肪酸の二重結合の数が減り、飽和脂肪酸の割合が増えますが、これによってトランス脂肪酸ができることがあります。

参考

難しい説明はさておきですが、、

工業的に「水素添加」されて、できたトランス脂肪酸を『部分水素添加油脂』といいます。PHOsと略したりします。

・脂肪酸
・飽和脂肪酸
・不飽和脂肪酸
・トランス脂肪酸
 (天然由来、工業的に合成)
・部分水素添加油脂(PHOs)

早速いろんな言葉がでてきましたが、全体のイメージとしてはこんな感じです。

そして、青のトランス型の不飽和脂肪酸が、今回注目する部分です。(トランス脂肪酸と書きます)

トランス脂肪酸は危険視されている

トランス脂肪酸は、国によっては、使用を禁止されていたり制限されていたりする国もあります。(日本ではまだ、明確な使用の制限はありません。)

というのも、WHO(世界保健機構)がこんなことを提言しているからです。

世界保健機関(WHO)は5月14日、世界中の食料供給から工業的に生成(副生)されたトランス脂肪酸(industrially-produced trans-fatty acids)(※1)を排除する計画であることを公表した。概要は以下のとおり。
WHOは本日、世界中の食料供給から工業的に生成されたトランス脂肪酸を排除するための段階的な指針であるREPLACE(リプレイス、置換)を発表した。・・・

トランス脂肪酸(trans fats)(※2)の排除は、健康を守り、命を救うための鍵である。WHOは、トランス脂肪酸摂取が原因の心血管疾患患者の死亡数は毎年50万人を超えると推定している。

工業的に精製されたトランス脂肪酸が原因で、年間50万人を超える心血管疾患患者が亡くなっているという見方があり、WHOがすでに対策のガイドラインを発表しているくらい、トランス脂肪酸は危険視されています。

トランス脂肪酸ってどこにあるの?

私たちの生活では、こんなところにトランス脂肪酸が使われています。

・マーガリン、ショートニング
・マーガリンやショートニングを原料に使った食品
・油で揚げてつくる食品

これまで、トランス脂肪酸が多く使われてきたのが「マーガリン」「ファストブレッド」「ショートニング」です。トランス脂肪酸は、硬さの調節に最適で、普通なら溶けてします油をいい感じに固めた状態にしてくれる働きがあります。

「マーガリン」「ファストブレッド」は、家庭でも普通につかう食材ですよね。

2つ目の、マーガリンやショートニングを原料に使った食品というのは、具体的に言うと、菓子パンやドレッシング類ですね。

ちなみに、「ショートニング」は、みんなが大好きな「ネギトロ」に入っていたりします。

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同様に、油で揚げてつくる食品は、スナック、冷凍食品が該当します。

危険視されているトランス脂肪酸が結構身近な食材に入っていて、実際に多くの人は無意識のうちに摂取を続けています。

信じられないような、ホントの話です。

なぜ日本はトランス脂肪酸の規制がないのか?

WHOの発表を受けて、トランス脂肪酸の使用規制は国単位で取り組みが始まっています。

規制が始まっている国の例
・アメリカ 2018年6月18日から部分水素添加油脂の食品への使用を規制
・タイ 2019年1月9日からPHOsとPHOsを用いた食品を製造・輸入・販売することを禁止
・シンガポール 2021年6月1日からPHOsとPHOsを用いた食品を製造・輸入・販売することを禁止

他にもカナダ、EUでも規制が始まっていたり、韓国・中国・香港では食品中のトランス脂肪酸濃度の表示を義務つけています。 

ただ、日本では法律上の使用制限はありません。

日本でのトランス脂肪酸取扱い
・基本的に制限はなし
・食品成分表示の義務はない
・一日の摂取目安量が提示されている

つまり、「あんまりつかわないでね~」という程度です。

日本当局の言い分としては、、、

・健康への影響を評価できるレベルを下回っている
・通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられる
・「飽和脂肪酸」の摂取量も気を付けるべき
・日本人は「塩分摂取量」に目を向けるべき
・メーカーの自主規制でトランス脂肪酸の濃度がこれまでよりも低い食品が販売されてる

政府の提言なので、化学的根拠があってのことだと思います。塩分の摂取量については私も気になっているところで、同意です。カップラーメンとかコンビニおにぎりには、すごい量の塩分入ってますよね。

とはいえ、ついつい他国の規制と比較してしまいます。ホントにこれでいいのか?日本!

ちなみに、私は本職で食品のタイ/シンガポール向け輸出に携わっている事から、PHOsの問題は深刻です。現地が欲しい魅力的な日本食材があってもメーカーが原材料を開示して、PHOs入っていないという証明がないと販売できません。日本ではPHOsの使用規制がなく、表示義務もないため、書類の対応が追い付かないからです。

一方で、メーカーの取り組みも始まっていることは事実です。

特に、パンの業界は取り組みが進んでいて、業界全体で安全性を示していく動きがあります。例えば、大手パンメーカーのヤマザキ製パンHPでは製品に含まれるトランス脂肪酸量を、「自主的に」すべて公開されいます。

HPを見るとわかりますが、「ふんわり食パン」(うちの子供たちが好きなやつ!)に含まれるトランス脂肪酸はゼロです。

トランス脂肪酸の摂取量は気にしなくていいのか?

日本では政府が規制していないから、トランス脂肪酸の摂取量は気にしなくていいのか?

答えは簡単で、気にした方がいいにきまってますよね。

「食の欧米化」といわれたように、日本人の食生活は変化していて、脂質の摂取量は増えています。日本の心血管疾患患者の数は年々増加しています。日本の心疾患はガンに次いで、2番目に多い死因です。

始めに紹介した通り、WHOがトランス脂肪酸摂取が原因の心血管疾患患者の死亡数は毎年50万人を超えると言っています。

あなたのため、あなたの家族のためです。

トランス脂肪酸の摂取には気を配って生活した方がいいにきまっています。

トランス脂肪酸の摂取【家庭でやるべき対策】

どう気を付ける?トランス脂肪酸

残念ながら日本にはトランス脂肪酸の表示義務がありません。表示はあくまでも努力義務です。実際に表記されている食品を探すのは困難です。

正直、トランス脂肪酸を表示している食品をみたことありません。

じゃあ、トランス脂肪酸の摂取をどう気を付けるのか?そのために、トランス脂肪酸を多く含む可能性のある一般的な食べ物を見てみましょう。

トランス脂肪酸を含む可能性のある食べ物

・マーガリン
・カレールウ
・ソース、ドレッシング類
・油で揚げた食べ物
・食用油

普通によく使う食材ばかりですね。ソース、ドレッシング、食用油など、どんな献立にも登場するソース類は特に注意が必要です。

また、油で揚げた食べ物には、ポテトチップス、スーパーの惣菜、外食テイクアウト品などが挙げれます。普通の居酒屋が使っている揚げ油は、多くの場合、安いコーン油や大豆油です。これも注意が必要です。

関連記事:【脱トランス脂肪酸】国内メーカーの取り組みまとめ(Coming…)

まとめると、家庭ではこんなところに気を付けるといいでしょう。
・トランス脂肪酸を多く含む可能性のある食べ物は避ける
・天然由来の食品、トランス脂肪酸フリーの商品に切り替えていく

食用油だと代表的なのは「日清」のサラダ油ですね。業界シェアはダントツ一位です。使っちゃダメではないけど、もうやめていきましょう。

使っても安全な食用油とは?

最後に、つかっても安全なトランス脂肪酸を含まない食用油をご紹介します。

食用油は多くの料理へ、横断的に使う食材です。トランス脂肪酸が入って入れれば、広く危険をばら撒く要素になります。

でも逆に言えば、家庭で使っている油1つを切り変えてしまえば、それで済むことです。

見ていきましょう。

有機JAS認定

有機食品の認定があれば安心です。

有機JASマークは、太陽と雲と植物をイメージしたマークです。農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないことを基本として自然界の力で生産された食品を表しており、農産物、加工食品、飼料及び畜産物に付けられています。

国の認可でもあり、化学的な要素は排除されています。海外からの輸入品であっても基準がクリアできれば認証が得られます。「有機JAS 食用油」で探してみてください。例として1つ紹介します。


トランス脂肪酸フリー表示

トランス脂肪酸フリーも多くみられるようになりました。これは国の認可ではないですが、メーカーの言い分を表示しているので、信頼できます。

特に家庭でも油を多く使う揚げ物などに、JAS認定がついているような高価な油は使いつらいですよね。そんなときのためにトランス脂肪酸フリーがおすすめです。


 

Amazon/楽天のアプリ内で「トランス脂肪酸フリー」と検索してみるといいですよ。たくさん出てきます。

 

油の原料に注目

トランス脂肪酸に気を配った食用油を探す場合、油の原料に注目するのもありです。安全な原料のカテゴリーと代表的な商品を載せておきます。チェックしてみてください。

オリーブオイル(エキストラバージンオイル)
米油
ココナッツオイル

(※精油法によっては注意が必要)

 

こんなところで以上になります。

「トランス脂肪酸」言葉は聞いたことあるけど、気にしてなかったって方も多いのでは?生活してたら、結構使ってるし、普通に食べてたりします。

これをきっかけに、普通の食用油の使用を控えつつ、トランス脂肪酸フリーな環境を整えてみてください。

あなたとあなたの家族の健康のために。

では!

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