居酒屋やレストランでは、リピータの獲得や、他店との差別化のために、常に新メニューの開発が行われています。お店ではたらく店長やシェフ、一般のスタッフでも、新しいことを考えて形にしたり、自分が考えた料理をお店で提供することは、飲食業界で働く「やりがい」のひとつだと思います。
でもこれって毎日の営業や仕込みをするのなかで同時並行で行うのって結構大変なんですよね。
例えば大手のチェーン店であれば、その本社に開発部隊がいて、材料から作り方のマニュアル、カラフルなメニュー、チラシまで作成してくれたものが支店に回覧されてきます。お店ではその企画に沿って料理を展開するだけです。これはよくできたシステムで、店舗としての負担も少ないですが、一方で新しいものを創ることの楽しみはありませんし、新しいものを創り出す過程を自分の力にすることはできません。
店舗で自分たちの新メニュー開発を行うための考え方・進め方についてご紹介します。アイデアがどんどん出てくる、そんな内容ではないですが、新メニュー提案のために役立つ内容だと思っています。
ちなみに私は20歳から15年間居酒屋に勤務していました。メニューを考える必要のないチェーン店にいたこともありますし、逆にお店でどんどん提案してメニューを作っていく環境にいたこともあります。毎週毎週提案が必要だった時はとても大変でしたが、その経験から自分の中でメニュー提案についてはある程度やり方が確立できたと思っています。
新メニュー提案のアウトライン
年間のメニュー概要
まず年間のメニュー計画を立てます。特に日本の場合は、四季にあわせた料理や、季節の素材を使った料理提案が基本になりますので、まずは春夏秋冬の4パターンに分けるところから始めるのがいいと思います。
もともとあるメインのメニューの中に、1ページ季節メニューのページを追加するだけで、変化をつけることができます。
季節のメニュー
1、季節のメニューは四季によって分けます。
春…3月~5月
夏…6月~8月
秋…9月~11月
冬…12月~2月
大体こんな振り分けでしょうか、多少の前後はあると思います。そして季節のメニューを4~5つ用意するとします。メニューのアイデアとしては次のことを軸にアイデアを募集します。
2、メニューのアイデア募集
・1つの素材を中心にして、フェアメニューを創る
・その季節に合った料理にトレンドを組み込む
・人気料理を季節に合わせてアレンジ
それぞれの季節に合わせて、ここはアルバイトスタッフにも是非協力してもらいましょう!自由な発想でひらめきを与えてくれます☆
3、始めに料理のカテゴリも割り振っておくとよりすっきりさせられます。
◆各季節/5品のカテゴリー分け(例)
逸品料理…3品
冷菜、揚げ物、焼き物からそれぞれ1つずつ
ご飯もの…1品、
デザート…1品
もちろん季節やそのお店の人気カテゴリによって、カテゴリの割り振りは変更自由です。ここまで細分化しておくと、提案する料理を考えやすくなると思います。
4、役割分担
お店のスタッフみんなで考える時も、振り分けがしやすくなります。A君には冷菜を、B君には揚げ物をお願いする、などなど。アウトラインを明確にすることで、取り組む事がはっきり見えるので、誰もが取り組みやすくなります。店長/料理長だけが考えるのではなく、お店全体で取り組むことができるようになります。
形にできたらお客様に食べてもらう
食材や分量、盛り付けが決まったら店内スタッフ間で食べてもらったり、店長/料理長の意見をもらいます。ここでのフィードバックで調整を行い、ある程度形になったときには、お店の常連さんに試食してもらうことも1つの方法だと思います。
お金をいただくわけではありませんので、ホントの評価はもらえないかもしれませんが、きっと±のコメントがもらえるはずです。またお店としても、こういった取り組みをしていますよ~というアピールになります。
各月/週メニューでトライアル
季節のメニューが形になったら、先行販売の形で週メニューに組み込むのもありかなと思います。全部ではなくても1つずつ試していくことで、一定の評価や、さらなる改善ポイントにつながるコメントがもらえたりします。スタッフにとっても店内オペレーションの確認にもなります。
まとめ
いかがでしたか?ついつい追われてしまう新メニューの提案も、ある程度年間のスケジュールとして組み込み、それぞれを計画的に役割分担していくことで、お店としてとても有意義に取り組むことができます。むしろ、新メニューを考えて創ることって楽しいことのはずです。是非参考にしてみてください。では!